ストーリー「おしゃまな・・透き通る白い思い」・・数十年の時を超えた告白・・
- 3月27日
- 読了時間: 3分
中年になっても、健司は数十年間、小学校4年生の時の、おしゃまで、女子のリーダーで、色が透き通るように白かった、美穂のことを忘れることができなかった。忘れようとしたが、ますます思いは募った。だが、小学校4年制の時の健司はとてもシャイで彼女を見つめるだけだった。そっと。
彼女がどこにいるのか、何をしているのか、結婚して家庭を持っているのか。そんな疑問が彼の心を常に駆け巡っていた。
彼はインターネットで彼女の名前を何度も検索した。しかし、「美穂」という名前は一般的すぎて、彼女に辿り着くことはできなかった。SNSを探してみても、彼女と思しきアカウントには辿り着けなかった。
それでも、彼は何をしていても心の底には、彼女の思い出が巡っていた。
健司「久しぶりに鎌倉でも言ってみるかなあ。海が見たい」
健司は鎌倉へカメラを持ってでかけた。
鎌倉駅を出ると、ボブカットの女性に気を取られた。
「透き通るような、色の白い・・・。」
健司は、ドキドキした。
少しずつ近づいていった。あと5mのところで、その女性は健司の方を振り返った。
美穂「あれ、健司くん?。健司くんじゃない。何か、驚いた顔してるわ。」
美穂「どうしたのよ。おばけじゃないのよ。健司くん。」 健司「別に驚いてないよ。ただ、空を見てたんだよ。」 二人は当時のことを振り返り立ち話をした。
そこは、まるで別の世界に入り込んだかのように、周りの喧噪が消え去り、彼らだけの静かな空間が広がっていた。
「そうだ、健司くん。公園に行きましょ。さあ。」
変わっていなかった。小学校4年生の時と。美穂のおしゃまな性格は。
健司は照れくさそうに、美穂の差し出す左手に自分の右手を合わせた。 再会を喜び、昔話に花を咲かせる中で、健司は何か言いたくなっていた。自分で止めようとしたが、出来なかった。 「美穂さん、ちょっと聞いてもいい?。変なこと言うけど、今、結婚してるの?」 彼の声は震え、彼女の反応を気にしていた。 美穂は少し驚いた表情を見せたが、明るく答えた。 美穂「私、夫とは10年前なくなったわ。それからはずっと一人よ。それがどうかしたの?・・・・・・・。わかったわ。私のことが好きって言いたいんでしょ。わかるわよ。健司くんの気持ちは。私も好きよ。今でも。」 健司「え?。僕は、ずっとずっと好きだったんだよ。」
美穂「もちろん知っているわよ。何となく。」
健司「全然変わってないね。美穂さん。でも、あの当時何で言ってくれなかったの?。」 美穂「相変わらず健司くんは、女心がわかってないわ。」
健司「?・・・・・・。」
(本当は、そのおしゃまなところが・・・。)
美穂「女の子はね、待っているの。それが女の子なのよ。あなたが悪いんじゃない。私に言わないからよ。」
健司の足元の、石畳には、1粒のしずくが落ちていた。
美穂「やだ。健司くん、昔と変わらないわ。そういうところが好きだったのよ。」
美穂は花柄のハンカチで健司の目をそっと拭いた。



