うららかな秋の陽・・留依・・
- 3月27日
- 読了時間: 3分
私は、彼と別れた。
それ以来、スマホばかり見ている。彼との過去のメッセージも見てしまうわ。
(心が真空状態。)
考えないようにしても、彼の、あの、輝いている眼を思い出す。
(なんか、彼は、手が暖かかった・・)
(肌触りまで覚えてるわ。私。)
(あっまた、彼の携帯番号を、押しそうになった。)
(でも、これだけは、消せないわ。)
留依は、本当は、まだ、彼のことが好きだった。
海哉が、一人でアメリカで音楽をやりたいと言われ、ついていけないと思った。
海哉は、ギターの天才だった。その才能は、
同じ、音大の同級生、留依が、一番良く知っていた。
同じドの音も、指で、微妙な変化をつけられる。
(だめだめ。考えちゃだめ。自分でそう結論を出したんだから。)
(それが、彼のため。私がいると、あの人は、思い通りにできないわ。)
(絶対、あの人には音楽の才能がある。それを邪魔しちゃいけないわ)
(彼は、天才ギタリストなんだから)
もう、彼は、アメリカに行っていた。3ヶ月前に。
(あの人、朝が弱いけど・・。ダメダメ。考えちゃだめ。)
(部屋にいないほうがいいわ。外に出ましょうかしら。)
私は、自分を奮い立たせるように、外に出た。
外は、秋の快晴であった。
(久しぶりだわ。太陽の光を浴びるのは。)
(今日の空はとても青く透き通っているわ)
(なんか、胸がスーッとするわ。こんなに気持ちいいので久しぶりだわ)
わたしは、しばらく、歩いた。
近くから、子どもたちの元気な声が聞こえてきた。
(あっちの方からだわ。なんだか楽しそう。)
(あの公園だ!。行ってみようかしら。)
ベンチに座り、子どもたちの遊んでいる姿をぼーっと見つめた。
(あ、あの子転んだわ。大変!)
体が、勝手に動いていた。いつの間にか、その子の、手をぎゅっと握り、
「大丈夫?。怪我してない。ぼく。」
そして、私は家に戻った。
(あの子の手の温もり、肌触り。)
(なんか、彼に似てる。)
(暖かかったわ。とても。)
なぜか、私の心には、暖かさが戻っていた。
(秋の陽差しのせい?) 私は、部屋のカーテンをレースのみにして明るくした・。
秋の陽差しが部屋に入ってくるように・・。
光は、部屋の中の、ダストを照らした。
部屋の中は、光で満ち溢れ、暖かさに満ちていた。
(そうだ!。大好きなAkikoのメウ・コラソンをかけてみようかしら)
(久しぶりに。)
(なんだろう、少しワクワクしてきたわ。)
(きっと!)
(心のなかに秋の陽差しが入ってきたんだわ!!)
(ありがとう。秋の陽差し。)
(新しい出会いがきっと来るわ・・・・。)
翌朝、留依は、いつもより、口紅の色を赤くして、いつもの会社に出かけた。
「おはようございます。」
留依の声は、昨日より、少しだけ大きかった。 (そうだ!。新しい恋人に出会ったら、真っ先に彼に紹介しよう!)
(そして、新しい恋人に、彼のギターを聞かせてあげる!)
麻衣「留依、なんかいつもと違うわよ。何かあった?」



