「ひとつぶのしずく」第5話
- 3月27日
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琴美は、列車内で、息を切らせていたが、
太陽が、4号車にのったのを確認していた。
琴美は、ベルの音がなっているうちに早足で
3号車に乗り、3号車の一番うしろに座り、
息が静まるのを待てず、時折、振り返り、太陽の横顔を見ていた。
(なぜかしら、これから彼女に会いに行くのに、うつむいているわ?。)
(なんだか彼が可哀想・・・。抱きしめてあげたい・・・)
琴美の右の頬から、一粒のしずくが落ち、次のしずくも続き、さらに。
段々と川のようになっていった。
(わかったわ。あの悲しそうな顔は、私といた時に、見せていた表情。)
(彼は、私を愛していた。私だけを。痛いほどわかるわ。その気持が。) (でも、ダメだわ。あの人の子供をもてない。同じつらい思いになるわ。)
太陽は、鎌倉駅で降りた。
琴美も、鎌倉駅で降りた。
(あれ、太陽は、このあたりに住んでいるのかしら。)
思いを残しながらも、琴美は、太陽の後ろ姿が、
ラッシュの人並みに消えていくのを、
改札付近で、立ち尽くして、見送った。
(まだ、思いが心に残るわ。やけに哀しい。)
琴美は、鎌倉駅の改札口を出ることには、雨もやみかけた。
(今日は、歩いて帰ろうかしら。きっと、いつものありふれた夜だから)
琴美は、膝を怪我しながらも、ゆっくりと、帰っていった。
続く。
2023-09-17 21:13:33



